記者会見・インタビューコメント
製作発表記者会見…2006年11月12日(東宝スタジオにて)
椿屋敷中庭セットにて(スタッフ・キャスト記念撮影)
写真前列左より:角川春樹プロデューサー、千葉龍平さん、中村玉緒さん、
織田裕二さん、豊川悦司さん、松山ケンイチさん、森田芳光監督
写真後列:若侍衆8名(順不同:林剛史さん、一太郎さん、粕谷吉洋さん、富川一人さん、戸谷公人さん、
鈴木亮平さん、小林裕吉さん、中山卓也さん)

故黒澤明監督の不朽の名作を、主演に織田裕二さんを迎え、森田芳光監督が45年ぶりにリメイクする「椿三十郎」。 11月12日、現在撮影が行われている東京・成城の東宝スタジオにて製作発表記者会見が行われました。会見には織田裕二さん、豊川悦司さん、松山ケンイチ さん、中村玉緒さん、森田芳光監督、そして角川春樹製作総指揮以下、千葉龍平さん、島谷能成さんの製作陣が登壇しました。
黒澤明監督、三船敏郎さん、仲代達矢さんといった豪華な顔ぶれもさることながら、日本映画界のみならず、世界に衝撃を与えたと言われる「椿三十郎」にどの ように挑むのか。その意気込みを劇中衣装のまま語りました。和やかな中にも熱を感じさせた会見の模様をレポート致します。



会見コメント紹介(コメント順)

角川春樹さん(製作総指揮:角川春樹事務所特別顧問)
角川春樹さん 私の少年時代は、多くの人たちが「椿三十郎」や「用心棒」、そして東映の時代劇に親しんでいましたが、昨今、時代劇は大人しか観ないようになりました。 この映画を再び撮りたいと思ったのは、 「もう1回、青春時代劇を撮りたい。製作したい」という思いに駆られたからです。

そこで、黒澤明監督の「椿三十郎」を、まずリメイクすることにしました。よろしくお願い致します。

千葉龍平さん(製作:エイベックス・エンタテインメント代表取締役副社長)
千葉龍平さん 先日、ラッシュを観て感動しました。森田監督をはじめ、全てのキャストがこの作品にベストを尽くしていると感じました。

「椿三十郎」は、エイベックスがこれから映像事業をやる上で未来を担う作品として、非常に重要な位置にある作品です。若い世代に「椿三十郎」の持つ男気や優しさを、この映画を通じて伝えたいと思っています。

島谷能成さん(配給:東宝株式会社常務取締役)
島谷能成さん この話を角川プロデューサーから聞いたのは、今年の初春だったと記憶しています。黒澤明監督作品をリメイクするということで、すぐに「そのプロジェクトに乗りましょう!」ということになりました。

監督に、何本もお仕事をご一緒した森田監督が決まり、その彼から「椿三十郎には織田裕二さんしか考えられない」と聞かされ、角川プロデューサーの了承を得 て、旧知の織田さんに出演を依頼しました。織田さんは「椿三十郎」が初めての時代劇で、なおかつ初めてのリメイクと、初めてづくしになりますので、しばらく考えたうえで出演を決断されましたが、スターでありながらリスクのある新しいことに挑戦しようとする彼の男気に敬意を表したいです。先日、私もラッシュを観て、彼の決断は大成功だと思いました。

いつの間にか東宝映画の富山社長が製作を引き受けてくださることになり、監督と主演俳優を中心に、豊川さんや松山さんをはじめ、ベストのキャストが揃いました。ここに並んだ皆さんと力を合わせて、大きく全世界の人たちに発信していきたいと思います。

森田芳光監督
黒澤明監督の作品を、自分がリメイクすることになるとは思いもしませんでした。しかも45年前と同じ台本を使用しますので、「とんでもないことだ」、「プレッシャーが相当あるだろう」と言われています。

仕事の面で、これほどの高い目標を持ったことがないので、スタッフ、キャストが一丸となって前作を、そして日本映画の歴史を基本に、僕らがその流れを汲んで現在出来る最高の作品を作るため、日夜努力をしております。

その成果を来年までお見せできないのが本当に残念ですが、楽しくて期待に足る作品になると思いますので、よろしくお願い致します。

織田裕二さん(椿三十郎役)
織田裕二さん 台本をいただいた時に、45年前の前作と同じ台本の時代劇ということで、「相当に時代差を感じるのでは?」と思っていました。

ですが、そこに書かれていたものは、現代にも十分通じるものでした。劇中、椿三十郎は、正義感を持ちながらもそれをなかなか実行に移せない若者たちと一緒に なって、権力を持ち汚職に走る者たちと闘います。椿三十郎は、こういう男と出会えて良かったなと思うほど、弱い人たち、困っている人たちを放っておけない、 見て見ぬふりの出来ない、そういう男です。

21世紀の新しい「椿三十郎」を、森田監督とともに、そしてここにいるキャストやスタッフたちと作り上げたいと思います。

豊川悦司さん(室戸半兵衛役)
豊川悦司さん 黒澤監督の作品は以前から好きで、特に「椿三十郎」はお気に入りで、何回も繰り返して見ていました。まさか自分がそのリメイクに出演することになるとは思っていませんでしたが、こうして出演できて大変光栄に思っています。

出演のお話が来た時、長年一緒に仕事をしてみたいと思っていた森田芳光監督とご一緒できるので、ありがたくお受けしました。織田さんも言っていましたが、本当に現代に通じる話だと思います。

森田監督は、「椿三十郎」を映画の基本中の基本であるエンターテイメントがたくさん詰まった映画にしようとしています。本当に楽しい映画になると思います。

松山ケンイチさん(井坂伊織役)
松山ケンイチさん 「男たちの大和」、「蒼き狼」、そして「椿三十郎」と、角川春樹作品にまた出演することができて、本当に嬉しく思います。僕も時代劇は初めてなのですが、毎日が新鮮で楽しいです。同時に、すごく勉強になります。若侍は僕の他に8人、全部で9人いますが、毎回監督のすごく面白い演出に応えようと必死です。監督の演出に細かいところまで応えられるように、頑張りたいと思います。

中村玉緒さん(睦田夫人役)
中村玉緒さん 映画に出演することが大好きだったのですが、なかなか縁がなくて、本格的に出演するのは14年ぶりになりました。ここ最近の私とは役柄が変わりまして、40年前の私が結婚前に演じた役柄を演じることになりました。大映の時代劇女優と呼ばれていた頃の奥方役です。この奥方役をやることは二度とないと思っておりましたので、お話が来た時は、嬉しいのが半分、ドキドキが半分でした。今、喋っているのも、自分ではないような気がします(笑)。

クランクインの日は嬉しくて嬉しくて、眠れなかったです。撮影に入りますと、40年間に蓄積してきたものがムラムラッと出てきまして、大変楽しくやらせていただいております。織田さんとは初めてですし、豊川さんとは残念ながらご一緒できませんでしたが、本当に楽しい現場で、森田監督から色々と注文をされながら、ワクワクしながら毎日演じています。女優冥利に尽きる毎日です。


製作発表会見写真


マスコミによる質疑応答

織田さんは、椿三十郎という役をどのように解釈して演じていますか?
織田さん 前作は、非常に殺陣が多いかと思いきや、頭脳派の面も兼ね備えている作品で、当初は「(自分にこの役が)できるかな?」と思いましたが、殺陣も含めすべて自分で演じました。この三十郎という男は、短気なところもあったり、結構人間臭いところもあって、森田監督による人間としての味付けがされています。前作と見比べていただいて、その違いを味わっていただけたら、結構楽しめるのではと思っています。


織田さんの椿三十郎はいかがですか?
豊川さん 織田さんの三十郎は、三船さんが演じた三十郎よりもさらに血が温かいというか、柔らかい感じがします。少しくじけそうになっている人がすごく頼りにしそうな、またそれを受け入れてくれそうな大きさがあるというか、そういう温かい印象を三船さんの三十郎よりも感じました。
松山さん ものすごく懐が深い感じがします。9人対1人というような形で芝居することが多いのですが、9人それぞれを受け止めてくれる、そういう器の大きさをいつも感じています。それは役に限ったことではなく、織田さん自身がそういう面を持ち合わせていて、現場の雰囲気を作っているからだと思います。本当に織田さんが三十郎で僕はすごく嬉しいです。
織田さん (松山さんにニヤリと笑いかけながら)何、企んでるんだ?(会場爆笑)
中村さん この2、3日ご一緒していますが、血がムラムラグラグラと煮えたぎるというような感じがしています。当時の三船さんと同じくらいの年齢だからでしょうか?血が活発でギラギラしている感じですとか、でも押さえるところは押さえる感じですとか、2つの面を持った三十郎さんだと思います(と、隣の織田さんに笑いかける中村さん)。
織田さん 怖いですね。頑張ります(笑)。
中村さん : いえいえ、可愛らしいところもあるし、なんて(爆笑)。……地が出てしまいました(会場笑)。


ここまでの撮影はいかがですか?
森田監督 他の作品と違ってすでに教科書があるので、その教科書に沿って応用問題を解いている感じで、すごく不思議な感じがしています。例えば椿屋敷にしても、映画で観た川の中に椿が浮いているシーンを、僕らが演出しないといけない訳ですが、セットを見ただけで感動してしまうんですね。そういった意味では、日本映画の歴史をタイムスリップしながら自分たちがやっているような感覚がして、スタッフ、キャストは毎日ワクワクしています。
織田さん ストレスをまったく感じない現場ですね。今まで自分より年下が多い現場が多かったものですから、監督をはじめ、ものすごくベテランの方から、ものすごく若いスタッフに至るまで、全て身を委ねることが出来て気持ちが良いです。こんなに気持ちの良い現場に出会うことはそうそうなくて、毎回こうだといいなぁと思い、感謝しています。
豊川さん 楽しい現場です。時代劇自体が僕らにとってはリアルではないので楽しいですし、何よりも黒澤版の前作があったからこそ、「これもいいんじゃない?あれもいいんじゃない?」と、監督から小道具のスタッフに至るまでアイデアがたくさん出てきて、ゼロからのスタートではないリメイクだからこそ、逆に「椿三十郎」という映画を楽しんでいます。
松山さん 笑いが絶えない現場です。監督は演出する時、ずっとニヤニヤしていて、それにつられて笑ってしまうこともあるくらいです(笑)。今はまだ撮影の半分も終えていないので、これからもっともっと楽しくなると思います。
中村さん キャストの方たちがお若くて、だいたい倍、私は2人分の年齢なんです(笑)。でも、それを皆さん労ってくださいまして、屋根に登るシーンの撮影で少しひっくり返ってしまったんですが、本当に優しくしてもらいました。それから、この格好をしているだけで楽しいです(笑)。このまま家に帰ってお風呂にも入りたいくらいで、とにかく時代劇のこの格好が大好きなので、夢心地で何もかも忘れて台詞を言うのが幸せです。


本格的な時代劇は初めての出演だそうですが、出演してみていかがですか?
織田さん 15年ほど前に時代劇に2本ばかり出演したことがありますが、その時とはまったく違う印象を受けました。時代劇と一口に言っても色々とあると思いますが、「椿三十郎」は素直にエンターテイメントとして入っていくことができました。最初は黒澤さんと三船さんの作品ということで、プレッシャーを感じた時期もありましたが、「そういうことじゃない。もっと面白いものなんだ」という考えが勝って、「こんなに面白いことをその時代にやっていたのか」と思うようになりました。「時代劇だろうが現代劇だろうが面白いものは面白い」、これが僕の結論です。


前作を意識した部分はありますか?
織田さん リメイクは、実は僕は初めてでして、ついつい作品を観てしまうとマネしそうになってしまうんですね。でも、マネしたところで三船さんの素晴らしい味というのは出せませんし、何かあればそこは監督が「今の織田裕二がやる三十郎をやれ!」と厳しく叱ってくださるので、それに応えられるように毎日やっています。
豊川さん 前作の仲代(達也)さんがされた室戸半兵衛は、とにかく異常に目がギョロギョロしてましたので、今回はなるべく目を開けないようにしました(会場爆笑)。


出演を引き受けた理由を教えてください。
織田さん この作品をやろうと思った理由は大きく二つあります。一つは森田監督からのラブコールでした。お前でやりたい、お前じゃなきゃだめだというその一言にどうしても応えたいなと。森田監督の数々の名作を観ていますが、その監督にその言葉を言われてしまうと「やりたい!」というのが一つ。もう一つは、実はこの作品の話を頂くまで僕は『椿三十郎』をあまりよく知らなかったんです。でも観てみたらこれがまた面白い。これを知らないのは損だなと思うのと、ストーリーが今の時代にまさに合っていると感じたんです。あぁ、この時代だからこそこの『椿』を今やる意義がある、と感じたので、是非にと引き受けさせて頂きました。


織田さんを推薦された理由を教えてください。
森田監督 直感としか言いようがないんですが、ヒーロー像というのは時代によって変わると思います。例えばスポーツでもそうですが、F1でしたら昔は(アイルトン・)セナだったのが今は(ミハエル・)シューマッハですし、野球も昔は長嶋茂雄だったのが今はイチローくんや松井(秀樹)くんと変わりますよね。では「椿三十郎」はどうかと考えると、「三船さんのような映画界のヒーローは誰かな?」と思った時に、直感的に「織田裕二じゃないかな」と思ったんです。

またこの映画はある種、過去の名作を若い人たちに見てもらうチャンスだと思います。やはり映画というのは、1カットづつみんなが熱を入れたものです。野球で言えば、1球1球を楽しんでもらうために、シュートだけでもホームランだけでもなく、その1球がどうやって動くか、その1球がどういう発想で投げられたかということを楽しむには、映画の細かい面白さを分かってもらいたい。また、映画には歴史があるんだということを分かってもらいたいと思いまして、あえて台本をオリジナルと同じにしました。ですからこの映画を作ることで、黒澤明作品の「椿三十郎」が観られるということ、そしてまた比べられるということは、日本映画の歴史に意味のあることだと思って、僕らは一生懸命に頑張って撮影しています。「すごく意義深いことを、僕らは今やっているんじゃないか」という実感をすごく感じています。


「椿三十郎」は、2007年12月公開予定。全世界が注目する時代劇超大作に、どうぞご期待下さい!


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